お願い
ゆきには少し荷が重い話だけど
『来年同棲したい』
そう言ってくれているゆきだから
「お願いがあるんだけど
時間があるならで良いから
父に会ってくれないかな?
結婚とかじゃないから
ただ父を安心させたくて」
言うのも悩んで
振り絞って伝えた言葉を
ゆきはあっさり
『良いよ、凄い楽しみ
もう行く気満々だから』
と言ってくれた。
実家に帰ってからも
何度も私の電話を
嫌がらず受け取ってくれて
話を聞いてくれて
泣いても傍にいてくれた
『トトが心配。無理しないでね』
そう何度も言いながら。
父は幸いまだ何も無いように元気で
私は笑っていられたんだけど
先の事を考えると怖すぎる。
実家を後にして
そのままゆきに会いに行くと
『会いたかった。大好きだよ
トトが愛しい
トトが彼女で良かった』
と何度も言ってくれた。
伝わる
会いにいくと
顔が結構爛れていた。
気にしているゆきに
気にしてない素振りをする私。
私はゆきが元気ならそれでいい。
ゆきは自分の傷を気にしながらも
私を優しく力強く抱きしめてくれて
『好きだよ』と言ってくれた
『お前のものは俺のもの』
なんてジャイアンみたいなことを言い
その後バイトの私を長く引き止めた
『えーまだいいでしょ
行かないで、一緒にいよー』
と力を込められると
なかなか抜けられない…笑
会った時間が短すぎて
寂しくて寂しくてゆきに当たる
『何か気に障ることした?』
謝りのつもりで電話を入れる
「寂しくなって」
『また海外行ってもすぐ会えるよ』
1時間電話に付き合ってくれて
今日も会いに来てくれる事になった
早く会いたいな
高熱
仕事中、ゆきからLINEが入る
『熱出ちゃった』
最初は安静にねーくらいだったけど
時間が経つ度温度が上がり
仕事終わるくらいには39.8度に…
それを聞いて
急いでゆきの所に向かった
何がいるのか分からなかったから
〇冷えピタ
〇タオル2枚(体拭く用)
〇ポカリと水
〇ゼリー
〇おにぎり
を買って家に行ったけど
まだ病院から戻って来ていなかった。
『まだまだ待たせちゃうかも』
と、連絡が来たから
荷物を家に一旦置いて
タクシーでゆきのいる病院に向かった
診察室にいるゆきに
『関係性を告げたら
中に入っても構わないです』
と受付の人に言われたけど
邪魔になるかと思い
しばらく待合室で待っていた。
それでも何十分と待たされたので
ゆきに連絡すると
『中においで』と言ってくれたので
中に入り、ゆきの関係者だと言うと
『どういうご関係ですか?』
と聞かれたので
「あ、こ、恋人です」
と少し恥ずかしく戸惑った…笑
中に入るとグダっと辛そうなゆき
『来てくれて超嬉しい』
「迷惑かなって思ったんだけど」
『超迷惑じゃない』
そう言いながら私の手を握り弱っていた
『惚れ直すわ、好きだわ』
そう言い甘えているゆきが可愛かった
結局原因はまだ分からず
入院するか明日の朝もう1度来るか
と選択肢があり
入院を勧めたけど『帰ります』と。
一緒にタクシーで家に帰ったのが
病院に着いてから約3時間後だった
ゆきの為に水やポカリを傍に用意し
布団も用意して寝かせ
頭に冷えピタを貼り
ゆきの同居人が帰るのを一緒に待った
『ねぇ、お願いがある
ゼリー食べさせて?甘えていい?』
可愛いゆきのお願いを
叶えることにした
食べさせていると凄く嬉しそうで
何度も何度も『好きだわ』と言っていた
食べ終わり『抱きしめていい?』
と言うので「いいよ」とゆきの傍に
『トトが熱出したらすぐ行くからね』
「いいよ、感染っちゃうから笑」
『俺言うか迷ったんだよね』
「言ってよそこは」
お互い甘えたのワガママな会話
同居人が帰ってきて
明日ゆきを起こすことを頼み
終電のない私は
友達が働く飲み屋さんのソファーに
寝に行った笑
今日原因が分かり
早く良くなると良いんだけどな