涙
急に会えることになり
仕事着のまま会いに行く。
初めてゆきに会ったのは
去年の私の誕生日だった。
『あの時はこうなるとは
思ってもいなかった』
「確かに笑
２回目すら会うとは思ってなかった」
『付き合って１ヶ月経つんだね』
「短かった？」
『うん』
LINEも素っ気なく
ご飯を食べに行ってからも
ゆきがツンデレなのも塩対応なのも
分かっていながら
発言に傷つく心があって
ゆきは私が
ムッとなるのを分かっていて
その反応が見たくて
わざとひどい事を言う。
冗談なのか本気なのか
分からなくて苦しくて
帰ろうとすると
あとを追って腕を掴み
抱き締めてキスをして優しくなる。
いろんな思いが込み上げてきて
マズい、このままじゃ泣く
って思ったから
手を振りほどいて帰ろうとした。
それでも掴んだ手を離さず
強く抱き締めてくるゆきに
堪えきれなくて涙する。
失敗した。
そう思ったけど
焦ったゆきは
『そんなに心配しなくても
海外なんて』
と、的外れな事を言うから
「海外の事なんて心配してない
ひどい事ばかり言うから」
と言うと、さすがに反省していた。
反省したのも束の間
『今日はいつも以上に可愛い』
と、ニヤニヤして嬉しそうなゆき。
ゆきの事で泣いた私を
愛おしそうに抱き締めてキスをして
『こんなに好きになるとは
思わなかった』
それは私も同じだよ。
『また明日も来てくれる？』
「うー来ない、宅配来るから」
『また明日も来てくれる？』
「だから宅配あるって」
『俺と宅配どっちが大事なのさ』
「…ゆき」
『でしょ、明日待ってるから』
ゆきには勝てない。
『俺良い彼氏だと思うよ』
「自分で言う？笑」
『違う？』
「そうだと思うよ
じゃなきゃ好きになってない」
『俺のこと好き？』
「好きだよ、私のこと好き？」
『もちろん好きだよ』
泣きそうになるわ
