伝わる
会いにいくと
顔が結構爛れていた。
気にしているゆきに
気にしてない素振りをする私。
私はゆきが元気ならそれでいい。
ゆきは自分の傷を気にしながらも
私を優しく力強く抱きしめてくれて
『好きだよ』と言ってくれた
『お前のものは俺のもの』
なんてジャイアンみたいなことを言い
その後バイトの私を長く引き止めた
『えーまだいいでしょ
行かないで、一緒にいよー』
と力を込められると
なかなか抜けられない…笑
会った時間が短すぎて
寂しくて寂しくてゆきに当たる
『何か気に障ることした?』
謝りのつもりで電話を入れる
「寂しくなって」
『また海外行ってもすぐ会えるよ』
1時間電話に付き合ってくれて
今日も会いに来てくれる事になった
早く会いたいな
高熱
仕事中、ゆきからLINEが入る
『熱出ちゃった』
最初は安静にねーくらいだったけど
時間が経つ度温度が上がり
仕事終わるくらいには39.8度に…
それを聞いて
急いでゆきの所に向かった
何がいるのか分からなかったから
〇冷えピタ
〇タオル2枚(体拭く用)
〇ポカリと水
〇ゼリー
〇おにぎり
を買って家に行ったけど
まだ病院から戻って来ていなかった。
『まだまだ待たせちゃうかも』
と、連絡が来たから
荷物を家に一旦置いて
タクシーでゆきのいる病院に向かった
診察室にいるゆきに
『関係性を告げたら
中に入っても構わないです』
と受付の人に言われたけど
邪魔になるかと思い
しばらく待合室で待っていた。
それでも何十分と待たされたので
ゆきに連絡すると
『中においで』と言ってくれたので
中に入り、ゆきの関係者だと言うと
『どういうご関係ですか?』
と聞かれたので
「あ、こ、恋人です」
と少し恥ずかしく戸惑った…笑
中に入るとグダっと辛そうなゆき
『来てくれて超嬉しい』
「迷惑かなって思ったんだけど」
『超迷惑じゃない』
そう言いながら私の手を握り弱っていた
『惚れ直すわ、好きだわ』
そう言い甘えているゆきが可愛かった
結局原因はまだ分からず
入院するか明日の朝もう1度来るか
と選択肢があり
入院を勧めたけど『帰ります』と。
一緒にタクシーで家に帰ったのが
病院に着いてから約3時間後だった
ゆきの為に水やポカリを傍に用意し
布団も用意して寝かせ
頭に冷えピタを貼り
ゆきの同居人が帰るのを一緒に待った
『ねぇ、お願いがある
ゼリー食べさせて?甘えていい?』
可愛いゆきのお願いを
叶えることにした
食べさせていると凄く嬉しそうで
何度も何度も『好きだわ』と言っていた
食べ終わり『抱きしめていい?』
と言うので「いいよ」とゆきの傍に
『トトが熱出したらすぐ行くからね』
「いいよ、感染っちゃうから笑」
『俺言うか迷ったんだよね』
「言ってよそこは」
お互い甘えたのワガママな会話
同居人が帰ってきて
明日ゆきを起こすことを頼み
終電のない私は
友達が働く飲み屋さんのソファーに
寝に行った笑
今日原因が分かり
早く良くなると良いんだけどな
デート
楽しみにしてたデートは
ゆきのデリカシーのない言葉で
たまに機嫌は悪くなったものの
ほぼほぼ楽しい1日となりました。
『トトの格好見てドキッとしたよ』
「デートだから可愛くしたの」
嬉しそうにするゆきに
正解だったなと思う
ただ久々のヒールに足が痛くなり
かばいながら歩いていると
『大丈夫?休む?帰る?』
なんて何度も
嫌な顔せず心配してくれて
申し訳ないなと思いながらも
優しさが嬉しかった
私の行きたい所に連れてってくれて
どれだけ並んでも待っててくれて
あっち向いてホイを
くだらないくらい続けて
一緒にいると楽しいなと実感する
「離れるの寂しいね」
また海外に旅立つゆきにそう言うと
『俺は平気だけどね』
なんて言うもんだから
「そっか、なら私も
平気でいるように頑張るね」
と答えると
『ダメ』
「は!?だって平気なんでしょ?」
『お前は俺のものだ
すねたり
寂しがってくれないと困る』
「いやでもそれただのワガママで
一方通行でしょ」
『俺はそうしてほしい』
なんてワガママを言われた笑
結婚の話を普通にしてて
『俺たちが結婚式をあげたら』
もしも話にドキッとする
また一緒にいると帰りたくなくなる
荷物とかめんどくさいね
って話をしてたら
『来年は同棲だな』
とサラッと言われてドキッとした
大号泣
酔ってたし疲れてたし
冗談を冗談だと受け入れられなかった
私がいる前で女の人達が
私と付き合った理由をゆきに問う
ゆきは端折りながらも
『一緒にいて楽しいから』と伝え
「タイプだったのね」と
女性から言われると
『全くタイプではないです』と。
耳を疑ったと同時に
ゆきに可愛いと思ってほしくて
努力しているのが無駄に思えた。
皆が帰ってゆきと話をすると
結構なダメージを受けてたんだなと
次から次へと涙が溢れて
止まらなかった
それを見て焦るゆき
ゆきは素直になれなくてって
『傷付けて、泣かせてごめん
本当にタイプじゃなきゃ
付き合ってないし
なかなか付き合おうなんて
俺から言わないんだからね
顔だけで選んだわけじゃないって
そう言いたかったんだ』
「私は自分に自信なんかないし
可愛いって言って欲しくて
努力してるのに
今日だって飲み会後に
会いに来たのは記念日だったから
もっとタイプで
一緒にいて楽しい人なんて
他にいるんじゃない?」
『違う、トトが良いんだよ
トトが離れてくのが怖い
本当にごめん
泣かせると心が痛い
手離したくない』
「ゆきはすぐ傷付けてくるし
私はそれにすぐ怒る
好きだけど
合わないのかなって思う」
『そんなこと思ってたの?
俺はもっとトトに俺のこと
好きになってほしいんだけど』
「もっと大事にしてほしいんだけど」
『グサッとくる
こんなにも好きなんだよ
トトに一緒にいてほしい』
途中「帰る」と発言した私を
ゆきは『帰らないで』と
必死に引き止めてくれた
『ワガママ聞いて、帰らないで』
「一緒にいても楽しくないでしょ」
『俺はトトと一緒にいたい』
何度も抱きしめてキスをして
離さないと言わんばかりに
苦しくなるくらいの力を込めて
何度も何度も謝って
気持ちを伝えてくれた
ゆきは可愛くてズルい
『俺のこと嫌い?』
「ううん」
『好き?』
「嫌いになれれば楽なのにって思う」
『本当にごめん、気を付けるから』
「それ前も言った」
『ごめん、傷付けたいわけじゃない
俺の言葉が下手くそだから
嫌わないで』
たぶんゆきは別れるって
言われると思ったんだろう
私とこうしたい、あそこに行きたい
突発的に何の脈絡もなく
未来の話をしてきた
笑っちゃった私の負け
ゆきが好きだから傷付いたこと
分かって欲しかったから
今回いろいろ話せて良かったのかな